Love Like Vanilla Beans セ ン セ イ ト 、 リ セ

Intermission 4



車内にて。



「市谷、ちゃんとシートベルト締めろよ」
「ふぁーい」
「・・・お前、鼻水出てるぞ」
「ん? あ、ほんとだ」
「ほれ、ティッシュ」
「ありがとー! センセイ気が利くねー」
「・・・寝てる時とは別人だな」
「ふごふご・・・ん? 何か言ったー?」
「何も」
「センセイ、独り言多いよねー。 年?」
「違うわ! 置いていかれたいのか?」
「嘘だよー。 あーでもセンセイの車だー。 うれしいなー。 いいにおいがするー」
「におい嗅ぐな! ていうかお前、ひっそり想ってるんじゃなかったのか」
「えー。 でも私、すごーく気ー遣ってるよ? 夏休みも一回しか会いに行かなかったし。
 でも、ゴメンね、センセイ。 迷惑かけないようにするけど、諦めるのは無理だよ。 少なくとも、すぐは」
「・・・」
「・・・」
「・・・お前、一人暮らしだってな」
「う、ヨーコちゃんに聞いた?」
「ああ」
「もう、勝手に何で話すかなー・・・」
「お前が体調崩さなけりゃ、俺も知ることはなかった。 藤井とかは知ってるのか?」
「言ってない」
「何で? 少しは友達頼れよ。 そんな風に風邪とかひいたら、あいつも心配するだろう」
「早苗は受験生じゃん。 迷惑かけられないよ」
「変なところで頑固だよな、お前は」
「そーかもしんない。 ・・・でも、説明し始めると面倒なんだよねー。
 うちって結構複雑だし。 今のお父さん、血が繋がってないんだ」
「・・・・・・親と折り合いが悪いから、一人暮らしを選んだのか?」
「ううん、そーじゃないけど、むしろ逆っていうか・・・・・・まあ、いろいろあんの」
「そっか」
「そーなの。 でも、そんなだから私、家事得意だよ!
 ちっちゃい弟の面倒も見てたから子育てもできるし! 超お買い得じゃない? どう、センセイ?」
「お断りだ」
「つーれーなーいー。 あーぁ」
「お前、着くまで寝てろ」
「はーい・・・・・・あ、センセイ、送ってくれてありがとう」
「どういたしまして」

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